目隠し、はずして
「いい子」

耳元でそう囁かれると同時に、Yさんの手首を握る手が離れた。

「痛っ!何するんだ!」

Yさんが間に入った大和くんを睨みつける。
どうやら大和くんがYさんとわたしを引き離してくれたらしい。

「もう千春ちゃんのこと振り回せるの、俺の特権なんで。一生、触んな」

大きな背中が、わたしを庇うように目の前に立ちはだかっていた。
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