目隠し、はずして
正座で足が痺れてきた。

わたしは一体何をしているんだろう。

大和くんを一瞬でもヒーローだと思ったあの頃の自分に伝えてやりたい。

あれはヒーローなんかじゃない、むしろ逆だ、力で民を征服する側の人間だ、と。

わたしもどうして逆らえないのかわからない。

でも逆らった後のことを考えるとゾッとするから、大和くんの言いなりになってしまう。

ほんの少しだけお泊まりの可能性を考えてはいたが、まさか一晩中正座をして過ごすことになるとは全く想定していなかった。

男とは本当によくわからない生き物だ。

今となっては、恋愛しよう、結婚しようなどと意気込んでいた頃が懐かしい。

あろうことかペットになってしまったのだから。
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