目隠し、はずして
「千春、何か見える?」

耳元で、大和くんの声がする。

「何も見えないよ……」

リボンの下で両目を開けてみたが、視界は真っ暗で本当に何も見えない。

「千春は今、俺に視界を奪われたんだよ。

俺が許可するまで、千春はずっと何も見えない。

真っ暗闇の中、足が痺れたまま正座して反省しないといけなくなったな。

いつになったら許してもらえるだろうな」

どことなく大和くんの声が弾んでいるように聞こえる。

不思議と怖くはない。

酷い目に遭わされているのに、大和くんに身を委ねているような気持ちにまでなってくる。

「千春、お前の居場所はどこだ?」

大和くんの声が頭に響いて気持ちいい。

「大和くんの、足元、です……」

なんだかふわふわした心地で答えたら、大和くんが小さく笑った気配がした。
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