目隠し、はずして
キョロキョロしながら立っていたら、一人の男性がまっすぐわたしの元に歩いてきた。

黒髪短髪で、左耳にシルバーのピアスをつけている。
スラッとした脚を見るに、身長180㎝はありそうだ。

「千春ちゃん?」

二重の目を少し細めて、話しかけてくる。

わたしは精一杯首を縦に振った。

まさかこんなイケメンが来るなんて思ってもみなかったから、心の準備ができていない。

「初めまして、よろしく」

スッと目の前に手を差し出されたものだから、
「や、あの、今、手が緊張で、汗が……!」
とあまりにも挙動不審な態度を取ってしまった。
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