目隠し、はずして
「ふっ、どうした? 緊張してる?」

パッと右の手首を握られて、顔を覗き込まれる。
目と目が合って、その視線が熱い。

「な、名前、何て呼んだらいいですか……!?」

もう緊張して、訳もわからず相手の名前を聞いていた。

彼はメッセージのやり取りの中で、イニシャルの「Y」としか名乗っていなかったから、気になっていたのだ。

「あぁ、名前な。大和(やまと)って呼んで」

「や、大和くん……よろしくお願いします」

ワンピースの裾を両手で掴みながら、ぺこりと頭を下げる。

「ん、じゃあ行こか」

大和くんは余裕そうに微笑み、歩き出した。

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