目隠し、はずして
「千春ちゃんって何歳だっけ」

駅を出て、街中へ足を踏み入れながら大和くんが聞いてきた。

「25歳です」

確か、大和くんは3つ年上のはず。

「じゃあ俺のが1個下か」

「……えっ?あれ、28歳って言ってませんでしたっけ?」

「誰と間違えてんの、俺は24だよ」

「ええ……?」

同時進行で何人とも話せるほど器用じゃないから、やり取りしていたのは一人だけだ。年齢なんて早々間違えて覚えることもない気がするけど……。

「これからは俺だけにしろよ」

そう言って、大和くんは悪戯っぽくニヤリと口端を上げて笑う。とても年下とは思えない。

満更でもない気持ちになって「うん……」と頷くと、よしよしと頭を撫でられた。



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