エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
碧の実家は循環器系での評価が高い大病院。かたや珠希の実家は国内最大手の製薬会社だ。
両家の結婚式となれば招待客の数はかなりのもので、中には政財界の重鎮や芸能関係の人間も含まれる。
現実問題として、珠希と碧のふたりだけでは荷が重すぎて、完璧に取り仕切ることなど不可能なのだ。
ふたりの結婚式ではなく、両家の結婚式。
長く病院と会社のトップに立っている両親たちは、そのことがわかっていたのだろう。
だからこそ先手先手で動いて、会場を事前に押さえたり、出席者の調整に時間を割いたりしているのだ。
「要は衣装合わせの前に、ある程度のイメージが欲しいらしい」
「お色直しの回数とドレスの色を簡単に決めておけばいいんですよね」
「ああ。珠希の衣装さえ決まればあとはどうとでもなる。主役は花嫁だから、俺の衣装は笑われない程度のもので十分らしい」
とくに異存はないのか、碧はなんてことのないように言っている。
「だったら、私が碧さんの衣装を決めていいですか?」
珠希は勢いよく身体を起こし、碧に向き直る。
「碧さん、背が高くて手足も長いからなにを着ても似合うと思うんですけど、袴姿を是非見てみたいです」
珠希は膝立ちで碧に詰め寄り、期待で目を輝かせている。
「あ、ああ。神前式だから、それは強制的に着せられると思うけど」
「それと、タキシードは白がいいと思います。碧さんの爽やかな雰囲気にぴったりです。襟に銀糸の刺繍があれば最高です」
本当なら、黒やグレー、珍しいところでパープルも碧には着てほしいのだが、白衣がよく似合う碧には、まずは白だろう。
珠希は胸の前で両手を組み、白タキシード姿の碧を想像してうっとりする。
両家の結婚式となれば招待客の数はかなりのもので、中には政財界の重鎮や芸能関係の人間も含まれる。
現実問題として、珠希と碧のふたりだけでは荷が重すぎて、完璧に取り仕切ることなど不可能なのだ。
ふたりの結婚式ではなく、両家の結婚式。
長く病院と会社のトップに立っている両親たちは、そのことがわかっていたのだろう。
だからこそ先手先手で動いて、会場を事前に押さえたり、出席者の調整に時間を割いたりしているのだ。
「要は衣装合わせの前に、ある程度のイメージが欲しいらしい」
「お色直しの回数とドレスの色を簡単に決めておけばいいんですよね」
「ああ。珠希の衣装さえ決まればあとはどうとでもなる。主役は花嫁だから、俺の衣装は笑われない程度のもので十分らしい」
とくに異存はないのか、碧はなんてことのないように言っている。
「だったら、私が碧さんの衣装を決めていいですか?」
珠希は勢いよく身体を起こし、碧に向き直る。
「碧さん、背が高くて手足も長いからなにを着ても似合うと思うんですけど、袴姿を是非見てみたいです」
珠希は膝立ちで碧に詰め寄り、期待で目を輝かせている。
「あ、ああ。神前式だから、それは強制的に着せられると思うけど」
「それと、タキシードは白がいいと思います。碧さんの爽やかな雰囲気にぴったりです。襟に銀糸の刺繍があれば最高です」
本当なら、黒やグレー、珍しいところでパープルも碧には着てほしいのだが、白衣がよく似合う碧には、まずは白だろう。
珠希は胸の前で両手を組み、白タキシード姿の碧を想像してうっとりする。