エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「わかったよ。白でも黒でも、珠希に選んだのを着るから好きにしてくれ。まずは珠希のドレスだ。ざっと見て、どのタイプがいいか決めよう。蓄電池背負ってるふたりの母親が、それをベースに考えて、衣装合わせのときまでに集められるだけ集めておくらしい。衣装合わせまで日がないから急いでるみたいなんだ。ごめんな」

申し訳なさそうに話す碧に珠希は苦笑し、タブレットに視線を落とした。
そこには碧の母から送られてきた、白石ホテル婚礼部が扱う衣装のうち、担当者が厳選したという写真がずらり並んでいる。
和装と洋装を合わせて百点ほどあり、画面越しにも華やかだ。

「どれも綺麗ですね。それにデザインが豊富で目移りします。碧さんはどれが好みですか?」
「ん? 俺の好みは二の次だろ。主役は珠希なんだから」

碧はあっさりと答えると「それよりも」と口にしながら珠希を抱き寄せ足の間に座らせた。

「えっ」

いきなり抱き寄せられ、珠希は身体を強張らせる。

「俺はそうだな……」

碧は後ろから珠希を抱きしめ、珠希の肩ごしにタブレットを覗き込む。

「珠希は色白だからどの色も映えそうだけど。やっぱり名前にちなんでパールをあしらったドレスがいいんじゃないか?」

碧は珠希のお腹の上に置いていた手でタブレットの画面を操作し、次々現われるドレスを確認していく。

「これなんて似合うと思うけど。手の込んだ刺繍にたっぷりのパール。上品で優しい感じ。珠希のイメージにぴったり」
「……う、うん」

珠希は声を絞り出しどうにか答えた。
碧の腕の中に囚われ、肩口には碧の甘い吐息。
おまけにタブレットに触れる碧の手は、動くたびにタブレットだけでなく珠希の胸を掠めるのだ。
お揃いのシルクのパジャマ越しに、碧の指先が何度も胸を刺激して、そのたび珠希の身体は熱くなり、呼吸も浅くなっていく。
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