エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「カラードレスも豊富だな。あ、さっき見ていた中に気になるのがあって。たしかこのあたりのはず」
心当たりでもあるのか、碧はタブレットを両手で掴むと素早く画面をスクロールする。
「これだ」
「きゃっ」
碧の弾む声と、珠希のびっくりした声が続けざまに部屋に響いた。
「……どうした?」
「あ、ううん、なんでも」
珠希は真っ赤にした顔を何度も横に振る。
タブレットの画面に目当ての写真を見つけた碧に勢いよく背後から抱きしめられ、驚いて声をあげてしまったのだ。
声だけでなく心臓も音を立てている。
今も背中全体に碧の体温が密着していて、鼓動が鎮まる気配は見えない。
おまけに誰にも聞かれたくない声を漏らしてしまい、珠希はあまりの恥ずかしさにうつむいた。
「珠希」
碧の艶のある声に呼びかけられても、珠希はうつむいたまま。
「珠希……」
碧はタブレットを珠希から取りあげ、ベッドの端へと無造作に放り投げる。
「珠希、珠希……」
珠希の上で組まれた碧の手が、いっそう強い力で珠希を抱きしめる。
「あ、碧さん……」
珠希は碧の手に自分の手を重ねた。
オフホワイトのシルクと、緑を感じさせる青いシルクが重なり合い、目に鮮やかだ。
結婚祝いだと言って拓真夫婦が用意してくれたお揃いのパジャマは、ふたりの名前になぞらえて特注した逸品らしい。
真珠に名前の由来を持つ珠希と、青緑を表す碧。
パジャマの袖口が珠希のお腹の上で重なっているのを眺めていると、恥ずかしさも照れくささも消えて温かな気持ちになる。
碧の一番近くにいるのは自分だと、実感できるから――。
「たまき……」
名前を呼ばれたと同時に背中に碧の体重が乗って、肺に痛みを覚えても。
こうして一緒にいられるだけで幸せだ。
珠希は碧の手をそっと包み込み、ゆっくりと振り返った、そのとき。
「え……?」
心当たりでもあるのか、碧はタブレットを両手で掴むと素早く画面をスクロールする。
「これだ」
「きゃっ」
碧の弾む声と、珠希のびっくりした声が続けざまに部屋に響いた。
「……どうした?」
「あ、ううん、なんでも」
珠希は真っ赤にした顔を何度も横に振る。
タブレットの画面に目当ての写真を見つけた碧に勢いよく背後から抱きしめられ、驚いて声をあげてしまったのだ。
声だけでなく心臓も音を立てている。
今も背中全体に碧の体温が密着していて、鼓動が鎮まる気配は見えない。
おまけに誰にも聞かれたくない声を漏らしてしまい、珠希はあまりの恥ずかしさにうつむいた。
「珠希」
碧の艶のある声に呼びかけられても、珠希はうつむいたまま。
「珠希……」
碧はタブレットを珠希から取りあげ、ベッドの端へと無造作に放り投げる。
「珠希、珠希……」
珠希の上で組まれた碧の手が、いっそう強い力で珠希を抱きしめる。
「あ、碧さん……」
珠希は碧の手に自分の手を重ねた。
オフホワイトのシルクと、緑を感じさせる青いシルクが重なり合い、目に鮮やかだ。
結婚祝いだと言って拓真夫婦が用意してくれたお揃いのパジャマは、ふたりの名前になぞらえて特注した逸品らしい。
真珠に名前の由来を持つ珠希と、青緑を表す碧。
パジャマの袖口が珠希のお腹の上で重なっているのを眺めていると、恥ずかしさも照れくささも消えて温かな気持ちになる。
碧の一番近くにいるのは自分だと、実感できるから――。
「たまき……」
名前を呼ばれたと同時に背中に碧の体重が乗って、肺に痛みを覚えても。
こうして一緒にいられるだけで幸せだ。
珠希は碧の手をそっと包み込み、ゆっくりと振り返った、そのとき。
「え……?」