エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
もともと感じやすかった先端が、碧の愛撫によって最近さらに感度を増している。
碧は執拗にそこを責め立て、そのたび珠希の身体は大きくしなり、身体は椅子からずり落ちてくる。
碧は珠希を背後から受け止め、カーペットの上に横たえた。
力なく四肢を伸ばした珠希の身体は桃色に染まり、ひどく扇情的だ。碧はゴクリと喉を鳴らした。

「こっちもだよな」

碧は間を置かず。珠希の下腹部へと手を伸ばす。

「やっ。いやなの」

珠希の声にいつの間にか甘さが混じっていて、本気で抵抗していないとわかる。
碧は口もとだけで笑みを漏らし、躊躇なく珠希の身体の奥へと指先を進めていった。

「ああっ」

すでにショーツの中は湿り気を帯びていて、ときおりいやらしい水温が防音室に響く。

「碧さん、ここじゃ、いや」

乱れた呼吸の合間、何度もその言葉を繰り返し、珠希は首を横に振る。
身体のどこもかしこも熱を持ち、紅潮している。
とろんとした目で碧を見つめる姿は妖艶で、ついさっきまで鍵盤に向き合っていた姿とは、別人のようだ。

「どっちの珠希も、俺好み。とりあえず俺も限界だ」

碧は乱暴な仕草で珠希を抱き上げると、途中何度もキスをしながら寝室に向かった。


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