エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「あの日和合さんの演奏を聴いて以来、遥香ちゃんはエレクトーンを弾けるようになりたいって言い続けてるんだ。手足のリハビリにもなるから、遥香ちゃんのお母さんも乗り気でね、珠希さんにレッスンを受けられる地元の教室を紹介してもらいたいそうなんだ」
「そういうことなら、もちろんかまいません。是非紹介させてください」
グリシーヌの曲を聞いて目をキラキラさせていた遥香を思い出し、珠希は笑顔で答えた。
「じゃあ、遥香ちゃんのお母さんに和合さんの連絡先を渡しておくから、近いうちに相談に乗ってあげてもらえるかな」
「はい、喜んで。早速教室をピックアップしておきますね」
「ありがとう……ところで、楽譜ってどこで買えばいいんだろう」
「楽譜、ですか?」
碧の問いに、珠希は首をかしげる。
「退院のお祝いに、遥香ちゃんが弾きたいって言ってたグリシーヌの楽譜をプレゼントしたいんだ。ネットで注文しようと思っていたんだけど、せっかく和合さんに会えたし、良ければ案内してもらえないかな」
「は、はい。大丈夫です」
反射的に承知したのはいいが、案内ということはふたりで店に出向くということだろうか。
珠希はその状況を想像し、慌てて言葉を続けた。
「あ、あの。宗崎さん、お忙しいんですよね。教室の一階で買えるので、私がレッスンの合間に用意しておきます」
「え? いや、大丈夫だよ。楽譜を買いにいくくらい問題ない。というより、いわゆる〝あとはお若いおふたりで〟みたいな展開を期待して、もともとそのつもりでいたんだ。だから、今からどうかな」
「今から、ですか?」
碧の気の早さに珠希は目を丸くする。
見合いの途中で当人たちがふたりきりになる流れは理解できるが、この見合いにそれは当てはまらないと思っていたのだ。
「時間も時間だし、行こうか」
碧は早速立ち上がり、クローゼットに掛けられているコートを手に取った。
「そういうことなら、もちろんかまいません。是非紹介させてください」
グリシーヌの曲を聞いて目をキラキラさせていた遥香を思い出し、珠希は笑顔で答えた。
「じゃあ、遥香ちゃんのお母さんに和合さんの連絡先を渡しておくから、近いうちに相談に乗ってあげてもらえるかな」
「はい、喜んで。早速教室をピックアップしておきますね」
「ありがとう……ところで、楽譜ってどこで買えばいいんだろう」
「楽譜、ですか?」
碧の問いに、珠希は首をかしげる。
「退院のお祝いに、遥香ちゃんが弾きたいって言ってたグリシーヌの楽譜をプレゼントしたいんだ。ネットで注文しようと思っていたんだけど、せっかく和合さんに会えたし、良ければ案内してもらえないかな」
「は、はい。大丈夫です」
反射的に承知したのはいいが、案内ということはふたりで店に出向くということだろうか。
珠希はその状況を想像し、慌てて言葉を続けた。
「あ、あの。宗崎さん、お忙しいんですよね。教室の一階で買えるので、私がレッスンの合間に用意しておきます」
「え? いや、大丈夫だよ。楽譜を買いにいくくらい問題ない。というより、いわゆる〝あとはお若いおふたりで〟みたいな展開を期待して、もともとそのつもりでいたんだ。だから、今からどうかな」
「今から、ですか?」
碧の気の早さに珠希は目を丸くする。
見合いの途中で当人たちがふたりきりになる流れは理解できるが、この見合いにそれは当てはまらないと思っていたのだ。
「時間も時間だし、行こうか」
碧は早速立ち上がり、クローゼットに掛けられているコートを手に取った。