エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
初めての宝石店は、予想外に居心地がよく、とても楽しかったのだ。
それは豪華すぎるシャンデリアに驚いて緊張が和らいだのもあるが、不慣れな珠希を見下すことなく迎え入れてくれた店員たちのおかげだ。
店全体に温かな空気が流れていて、気分良く指輪を選ぶことができた。
「これからも初めてのことをいろいろ経験して、楽しめたらいいな。いや、きっと楽しめる。俺もわくわくしてきた」
「でしょうね……」
碧に聞かれないよう、珠希はぽつりとつぶやいた。碧の方こそ初めて訪れた宝石店を楽しんでいたのだ。
指輪の内側に埋める石について店員と相談するときには石をいくつも見せてもらい、かなり悩んでいた。
宝石についての知識がほぼゼロで、聞くことすべてが新鮮。
気づけば珠希とともに、店員を質問攻めにしてしまうほど夢中になっていた。
青いイメージのサファイアにピンクやイエローをはじめ複数の色の種類があると聞いたときには、シャンデリアを見上げたときと同じくらいの衝撃を受け、ふたりして顔を見合わせたほどだ。
「初めてだらけの珠希には、この先今日みたいな感動がたくさん待ってるんだな」
まるで碧の方がそれを心待ちにしているような声に、珠希もつられて笑顔になる。
全方位的に経験値が浅いことを引け目に感じていたが、それは楽しめる余白がまだまだあるのだと教えられた気がして、珠希の心がすっと軽くなった。
「あ、忘れるところだった」
碧は小さく声をあげ、後ろを振り返る。
そこにはテーブルに置かれたコーヒーがふたつ。
「さめないうちに飲もう。俺いち押しのコーヒーなんだ。さっきモーニングを食べた店で分けてもらってるお気に入り」
碧は説明しながら珠希の腰に手を回すと、テーブルに向かって歩き出す。
「あっ……」
意外にスキンシップ過多の碧に、珠希はつい吐息を漏らした。
それは豪華すぎるシャンデリアに驚いて緊張が和らいだのもあるが、不慣れな珠希を見下すことなく迎え入れてくれた店員たちのおかげだ。
店全体に温かな空気が流れていて、気分良く指輪を選ぶことができた。
「これからも初めてのことをいろいろ経験して、楽しめたらいいな。いや、きっと楽しめる。俺もわくわくしてきた」
「でしょうね……」
碧に聞かれないよう、珠希はぽつりとつぶやいた。碧の方こそ初めて訪れた宝石店を楽しんでいたのだ。
指輪の内側に埋める石について店員と相談するときには石をいくつも見せてもらい、かなり悩んでいた。
宝石についての知識がほぼゼロで、聞くことすべてが新鮮。
気づけば珠希とともに、店員を質問攻めにしてしまうほど夢中になっていた。
青いイメージのサファイアにピンクやイエローをはじめ複数の色の種類があると聞いたときには、シャンデリアを見上げたときと同じくらいの衝撃を受け、ふたりして顔を見合わせたほどだ。
「初めてだらけの珠希には、この先今日みたいな感動がたくさん待ってるんだな」
まるで碧の方がそれを心待ちにしているような声に、珠希もつられて笑顔になる。
全方位的に経験値が浅いことを引け目に感じていたが、それは楽しめる余白がまだまだあるのだと教えられた気がして、珠希の心がすっと軽くなった。
「あ、忘れるところだった」
碧は小さく声をあげ、後ろを振り返る。
そこにはテーブルに置かれたコーヒーがふたつ。
「さめないうちに飲もう。俺いち押しのコーヒーなんだ。さっきモーニングを食べた店で分けてもらってるお気に入り」
碧は説明しながら珠希の腰に手を回すと、テーブルに向かって歩き出す。
「あっ……」
意外にスキンシップ過多の碧に、珠希はつい吐息を漏らした。