永遠に踊る
「灰治さん、今日は喫茶店ではなくあたしの家に行きましょう。ね?」

耳元で囁かれ、灰治の身体中にゾクリとした感覚が走る。ウズメは灰治の反応が面白いと思ったのか、耳に一瞬ウズメの唇が触れ、灰治は声を出してしまいそうになった。

ウズメの提案に拒否権はなく、灰治は公演が終わった後に手を引かれながら劇場を後にした。



馬車に揺られること四十分弱、灰治はウズメの屋敷に着いた。ウズメの屋敷は灰治が仕えている屋敷よりも大きく、馬車からウズメと灰治が降りると大きな門が開き、使用人たちが一斉に頭を下げる。

「おかえりなさいませ、ウズメ様。いらっしゃいませ、灰治様」

いつもは自分が頭を下げて出迎える立場のため、灰治の心の中にくすぐったさが生まれていく。だがウズメは気にすることなく灰治の手を引いて歩き出した。

「舞殿に行きましょう。実はあたし、こう見えて舞が得意なんです。舞をお見せしますわ」

「そうなんですか。楽しみです」
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