永遠に踊る
「先ほどの公演を熱心にご覧になっているあなたが少し気になって、声をかけてしまいました。突然申し訳ありません。ですが、あんなにも真剣な表情をしているのはあなたしかいませんでしたから……」

「あっ……」

女の子をよく見ていると、灰治の頭の中に劇場の椅子に座った時のことが頭の中に浮かぶ。彼女は灰治の隣に座っていた人だ。

公演が始まるまでまだ時間があるというのに、女の子は一人まだ緞帳の降りた舞台を見つめていた。その瞳は夜空に輝く星くずのように煌めき、公演が始まるのを今か今かと楽しみにしているのがわかるものだった。

「あの女の子、めっちゃくちゃ可愛くない?」

「どこのお嬢様だろ……」

公演を見にやって来た男性たちが頬を赤く染めながらヒソヒソと話す。だが、女の子は何も聞こえないようにただ舞台を見つめていた。

「思い出していただけましたか?あたし、あなたの隣に座っていたんです」

「はい、思い出しました」
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