永遠に踊る

「あんなにも真剣に見ている方、私、初めて見たんです。素晴らしい舞台だと言うのに、真剣に見ていない方もいる中、あなただけは違った。それが芸能が好きな人間として、とても嬉しかったのです」

「……ありがとうございます。俺は奉公に東京に来たんです。劇場なんて見るのが初めてで、芸能なんて一度も触れたことがなくて……。だからきっと、初めて見るものに興奮していたのではないかと思います」

東京に住んでいる人はきっと、毎日のように新しいものに触れている。芸能であれほど目を輝かせるなど、田舎者丸出しで恥ずかしい。そう思いながら灰治が俯くと、ふわりと体が温もりに包まれる。

「えっ……？」

いつ移動したのか、目の前に座っていたはずのウズメは灰治の横におり、彼を強く抱き締めている。

「それでも私は嬉しいです。あなたの煌めく瞳を見た時、紅潮した頰を見た時、袴を握り締める拳を見た時、まるで舞台を見ているような感覚を覚えました。……舞台を見ているあなたは、とても綺麗でした」