永遠に踊る
「あ、ありがとうございます……」

ウズメの胸が顔に当たっていること、そして喫茶店にいる他の人たちの視線が突き刺さっていることもあり、灰治は手で軽く彼女を押して離れる。

「人が見てますので……」

灰治の心臓はバクバクと音を立てて高鳴り、恥じらいにこの場から今すぐ逃げ出したくなる。どこかのご令嬢とお茶をして抱き着かれたこの様子を見られてしまえば、灰治は何を言われるかわからないと恐怖も込み上げてくる。だが、目の前にいるウズメは人の目など気にしている素振りすら見せない。

「次はいつ劇場に来る予定ですか?灰治さん」

「えっ?」

ポカンとする灰治の前で、ウズメはフフッと言い笑った。その愛らしい笑顔に、灰治はもちろん喫茶店にいた全員の頬が赤く染まったのは言うまでもない。



それから、灰治は公演が劇場で行われるたびに、ウズメと共に見に行くようになった。だが、劇場に頻繁に行けるほど灰治にお金はない。そのため、ほとんどいつもウズメが代金を払ってくれている。
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