永遠に踊る
物語が終わりを迎え、会場内は拍手で満たされる。そんな中、灰治は拍手ができないまま胸を高鳴らせていた。

灰治の目の前には、未だにウズメの顔がある。柔らかな唇がまだ己の唇と重なっており、離れようにも接着剤でくっついてしまったかのように離れることができない。

(えっ?何これ?何で俺、ウズメ様と接吻を……!?)

混乱と羞恥から灰治の顔は真っ赤に染まり、のぼせてしまった時のようになっていく。もしも誰かにこの様子を見られていたらまずい、そう思い灰治がウズメの肩に触れると、ようやく唇が離れた。

「ふふ。もしかして、接吻は初めてですか?」

揶揄うようにウズメに見つめられ、灰治は慌てて顔を逸らす。心臓が未だにうるさい。言いたいことはあるのだが、言葉にならない。

(ウズメ様は俺のことが……?いや、まさか。こんな奉公で東京にいるような男より、ウズメ様には相応しい人がたくさんいる。きっと揶揄われているんだ。そうに違いない!)
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