断片集

まさか、詰問を受けるくらいのことをしてしまったのだろうか。だとしたら何がいけなかったのだろう。日常の中にぼくにとっての悪夢が入り込んできて、ぼくが、捨てた(じゃなく、本来、《現実と切り離してしまいたかった》という表現にすべきだった部分)、部分までを悪夢に食されて現実を侵食されていくみたいな錯覚に襲われ続けるようになり、ご飯がまともに食べられなくなってきてしまって戸惑った。そうめんは美味しい。夏バテかなと思うけれど、そのときの時期はまだ春になる前くらいだった。
好きだったものや、好きだった人が自分の《悪夢》になって襲いかかってくるみたい。
もともと世界に八つ当たろうって思っていた。同じような誰かが共感してくれるって思って話したそれを、なのに醜いではなく綺麗だって言われたら、ぼくは何を憎めばいいのだろう。このままでは別のものに当たってしまいそうでこわいし、夢と現実とは分けていたいからなるべく壁を作らせておいてほしい……と思ったときに閃いた。いつかどこかで嫌な解釈をさせてしまうようなことを話す場合があるかも。傷つけてしまうのではないか。それなら先に、言わないでおくつもりだったことを言っておこう。何にも関係していないつもりで話しても、何かに関係していると思われて混乱させてしまうくらいなら、先にこういう感じのことを話そうと思うんだけどと言っておけば安心してもらえるんじゃないかな? と、話してみる。むしろ悲しい目をされてしまった気がする。あれ? 壁は出来ていくけど、作りたかった壁じゃない。話しても話してもいろいろと空回っていくみたいで、息が詰まる。ぼくは何をしてしまったのだろう。
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