断片集

肩にかけている鞄から、念のために携帯電話を取り出す。
待ち受けには電話着信のマークが22件。こ……怖い。
その中の一つを呼び出して電話をかけてみる。
かけてすぐに、相手は受話器を取った。
『もーっ! 連絡してって言ったでしょ』
「ああ、悪い……」
『何、私からの電話なんかどうでもいいんだ……ふうん、そうなんだ……この前も出なかったし、無視したし』
電話の向こうから、ぱりーんと、何か砕けた音がする。
こ、怖い。花瓶か何か投げたようだ。
ガラスは大丈夫なのか。

「そういうわけじゃないよ。無視じゃなくて、たまたま見られなかったの。というかこの前はさ、ちゃんと履歴を見てかけなおそうとしたんだよ、んでなんか電話帳の履歴からアドレスから全部消しちゃってー、とりあえず何回か勘でかけてみたら、見事に全部間違い電話で……かかってくるまで諦めていました……」
(どうでもいいが、間違い電話ってかかる方だった場合、仕方が無いのに「なにぃ、ぼく
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