断片集
まぁ、変な人は今でも、近くをたまにうろついてるんだけどね。
なんだろ、あれは。真は歩いて来ないと思うし、正体が未だにわからない。
家に来るってだけなのに、知らない人だとそれだけで少し不気味なのだ。
学校の帰り道で見かけたこともある。
玄関開けなきゃ、大丈夫かな?
今のところ実害は無さそうだから、どうしていいかわからないけど、まあいいか。
道に迷ったに違いない。ああよかった、誤解が解けた。
見守り隊かと思っていたけど、自宅まで見守る必要ないよね。
挨拶した方がいいんだろうか。
『あらら。ほんとごめんっ。そりゃ載っていないよ、私のおとうさんの番号なんて知らないもんね』
しばらくして、真がどこかに行ってしまって、戻ってこなくなった。
「……切っていい?」
答えが無かったので(途中から電話の向こうから『何だこれは! お前、何をしとるんじゃー』的な怒鳴り声が聞こえてきた)勝手に切らせてもらう。
「…………微妙な天気だな」
見上げてみた空はどこと無く曇っている。
晴れているような居ないような。
クマは曇りの日は機嫌が良い。太陽からの余計な反射を軽減するのだとかどうとか。でも、今日は荒れていた。ぼくのせいだけども。