断片集


人が死ぬのはきらいです。
とっても悲しい。
だけど、その割には、周囲はさっさとお片づけするのですから。
それが、苦手だったのでしょう。
とても優しく、とても壊れた、白い部屋の、白い妖精のお話です。

「ずっとそばにいるよ」
その子は言いました。
ずっとそばにいました。ずーっと、ずーっとそばに居ました。
あの子の形が、だんだんと、崩れていきました。
それでも、約束したのです。
ずっとそばに居てあげたかった。
大人たちは言いました。
「そんな汚いもの、早く片付けなさい」
それは、あの子なんだよ。それはあの子だったよ。
それはあの子なのに。何を言ってるのか、その子はわかりません。
どんな形になっても、大好きで、大切で、どんどん溶けていくそれさえも、不快とは思えなくて。
「早く片付けなさい」
それでも。
それでも。それでも。それでもそれでも。
そばに居たかったのですが、あの子は、燃やされてしまいました。
愛しいと思うのは、いけないのでしょうか。
いけないのでしょう。
それでも。


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