断片集
「目印には、これを、使ったんでしょ?」
古里さんが、スピーカーのそばに置きっぱなしだった、飾りのタイルを拾い上げて指差すと、周りがわあっとざわめいた。
「タイルにあるマークと色を組み合わせて使っていた。例えば二階なら、2の白いハート、3階なら3の赤いダイヤといった風になっていて、階が変わる際に、床で同じ模様が並んでいる中のワンポイントでもあって、縦に順に見ていくとカーテンの模様で目指す部屋がわかるようになっています。同じ模様は隣り合っていませんでしたから。そしてこれは想像になりますが、色などで方向などを示していて、それで、矢印を辿ってさっき見てきたマークをメモしたり思い出しながらも、そのときのマークの色を見て今度はそこよりも上か下の階に行き、そのマークのあった場所に近い部屋を探す。それが赤か白といった色の役目、という感じでしょうか……地下の部屋は何かで代用していると思います」
なんて体力を使う取引だ。そうすると、一つ余りというか、空きが出てしまうけど、そこは二箇所になるような色だったのだろう。タイル全ては見ていないし。