断片集
懐かしいなあ。
記憶の中では、いつも××ちゃんは笑ってる。
どこか儚げに。どこか、楽しそうに。
なのにどこか、痛みを抱えているみたいに苦しげだ。
子どもの頃に、なぜか、線路の上で電車に追いかけられようとして、通報された××ちゃん。最後に聞いた会話がそれだった。
それで。おっ、俺は旅立ちをだなァ……とか意味不明なことを言って親に叱られたって話していた。
夏が来たら思い出すんだ、って言ってたな。
なんでだろ。
なんで、××ちゃんは。
一人で消えちゃったんだろう?
何も話さなくていい。何も言わない。
きっと言葉だけの、労わりなんて、もう疲れちゃったよね。
だけどね、だけど。
寂しかった。