冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

「やっぱり桜庭さんはちっちゃくて可愛いなぁ」
「は、離してくださいっ!」


 凛子は同期に力強く抱きしめられ身動きが取れない。身体をどうにか拗らせ、すり抜けようとするが男の力には到底敵わなかった。


「本当にっ、離してっ!」


 力いっぱい同期を押す。


 ビーービーービーービーー。


 凛子の胸の中で大きな音が鳴り響く。優にもらった防犯ブザーがなにかの拍子に抜けたようだ。威圧的な高音が社内に鳴り響く。


「は!? この音なに?」


(あっ、優ちゃんにもらった防犯ブザーがっ、早く止めないと!)


 凛子はあたふたと鞄についている優にもらった防犯ブザーを手探りで探し、防犯ブザーを止めた。

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