冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い
「お前! 凛子に何してるんだ!!!」
ハァハァと息を切らした優が同期の身体を勢いよく凛子から引き剥がした。凛子のよく知っている優しい温もり。でも今は凄く熱い体温に凛子の身体は包み込まれる。
「優ちゃん……」
凛子はポロリと優の名前を口にした。
目を見開いて驚いている同期は「どういうこと?」と口をポカンと開け、思考回路も身体も動きが止まってしまっているようだ。
「おい、お前。凛子に何した?」
優の冷徹で鋭い声が同期に突き刺さる。
「しゃ、社長……私は何もっ、ただ泣いてた桜庭さんを励まそうと……」
「凛子が泣いてた、だと? お前が何かしたからなんじゃないか?」
同期は優の鋭い眼光に「ひぃっ」と小さく悲鳴を上げ、その場から逃げ出すように走り去っていった。