冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

 大きな窓ガラスに映る自分と麗奈の姿。月とスッポンだ。凛子は背も低く童顔で、優の好きなタイプの美人で黒髪清楚なんか程遠い。自然と深い溜め息が出てしまう。


「なにため息なんて着いてんのよ。ますますブスになるわよ」
「なぁっ、でもそうですよね。もっと自分磨きしないとですよね。どうしたら麗奈さんみたいに綺麗になれますか?」


 凛子は足の回転を早めて麗奈の隣に必死に食らいついていく。


「綺麗ねぇ。まず自分に自信を持たない限り無理ね。それにあんたは綺麗というより、可愛い系よ。無理に自分に似合わない服やメイクをしたって浮くだけだからね」
「う……ですよね」


 綺麗系の美人になるためには麗奈のような服装をしたらいいんじゃないかと思っていたことを見破られていた。


(自分に合う服やメイクか……)
「麗奈さん」
「嫌よ。一緒に買物なんて行かないわ。ネットで買いなさいよ」
「そんなぁ〜」
「ほら、着いたわよ。早く入んなさい」
「ふぁい……」


 コンコンと控えめにノックをすると中から「入って」と優の声が聞こえてきた。凛子はそっと社長室のドアを開ける。


 ワークチェアに座っていた優とばっちり目が合った。いつもの優しい優の瞳じゃない。両腕を組みながら、鋭い眼光で凛子を捉えている。周りの言う冷徹社長モードだ。

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