冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

「ねぇ、優ちゃん。私もう優ちゃんの妹でいるの辞めたい」
「どういうことだ?」
「ふふっ、本当に優ちゃんは鈍感なんだねぇ。私、優ちゃんのことがずっと、ずっと好きでした。子供のころからずっと。社会人になって、大人になったら優ちゃんに近づけると思ってた。それで、優ちゃんのお嫁さんになるのが夢だったけど、叶いそうにないから今ここできっぱり私のことを振ってもらえないかな? 優ちゃんはこの中の誰かと結婚しちゃうんだもんね」


 凛子の肩が小さく震え始める。こんな風に関係が崩れるなんて思っていなかった。振られることがわかっていても悔しくて、悲しくて堪らえようにも涙が凛子の頬を濡らす。


「へ……?」


 ふわりと凛子の小さな身体は暖かな温もりに包み込まれた。凛子のよく知っている温もりだ。


「凛子、なにか勘違いしてないか? いつ、俺が凛子のことを振るって? そんなことある理由ないだろう」


 凛子を抱き締める優の力が強まった。

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