冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い
「ゆ、優ちゃんこれって……」
「凛子にプレゼント。開けてみて」
そっと凛子の小さな手に乗せられた小さな箱を凛子は落とさないように大切に両手で持った。
凛子は期待に満ち溢れたキラキラとした瞳で小さな箱を開ける。
「……優ちゃん、これって」
「防犯ブザーだ。これから毎日通勤するのに鞄につけてても違和感のないデザインを選んだんだ。これをちゃんと身につけて通勤するんだよ?」
箱の中に入っていたのはチョコレートのストラップのような可愛らしいデザインの防犯ブザーだった。
「あ、あはは。うん、優ちゃん、ありがとう。嬉しい」
凛子は引きつる口元を必死で繕い、泣きそうなことを悟られないよう優に笑顔を向けた。
やっぱり自分は優にとって妹のような存在なんだと胸が切り裂けそうなほど再確認させられる。防犯ブザーを持たされて、まるで小学生扱いだ。
「じゃあ優ちゃん、私そろそろ戻らないと。プレゼントありがとう。今日から使わせてもらうね!」
「あぁ。使うことがない方がいいんだけどな。仕事、頑張れよ」
「うん! じゃあ、失礼しました!」
その現実が辛く、凛子は逃げ出すように社長室を出た。