あの日、再び

集中なんて、できるわけがない。

 優里と一緒の授業。初めての授業。うれしすぎる。夢みたい。私、何回も同じこと思っている。だけど、本当のことだから。手紙の最後にあったけど、一緒に帰りたい…か。ほんとだよね?!冗談じゃないよね…?カップルみたい。だけど、今の私は、一緒に帰らなければいけない。いや、とっても一緒に帰りたい!!
「堀田さん、この問題、分かる…?分かんない…。…。そういえば、一緒に帰れる?」
「帰れるけど…。本当にこの問題分かんないの?」
何の会話…?小声で。誰にも見られていないところで話したいのに。先生にあてられたくないから。
「聞くために話しかけただけ。問題は分かるよ。前の学校で終了済みだからね。堀田さんが分からない問題があったら聞いてね!!」
「ゆ…桐谷君。気遣い、ありがとう。」
優里は、笑顔でにかっと笑った。笑顔がまぶしいし、話しかけられて授業に全く集中できない…し。もうわからなくなっちゃったじゃん…。優里。今じゃない時にしてほしかったよ…。通じるわけがないって、通じてはいけないかも…。
「堀田さん。では、この問題、分かりますか?答えをどうぞ。」
話を聞いていなくて、分からない時に限ってあてられる。解き方、分からない…。塾でも理解できなかったし…。どうしよう。
「りり、大丈夫そう?深刻そうな顔しているけど。」
「え…あぁ、うん。玲、後ろ向いていたらあてられちゃうよ。」
「分かったよ。ドンマイ、りり。」
どうしよう…。優里、優里…!!
「璃亜121って言って。いいから。」
「百二十一…?!」
「堀田さん、正解です。よろしいですよ。」
何がよろしいって?もう…。心で願っていた子が教えてくれるなんて!!
とっても恥ずかしい。どうにかならないかな、この気持ち。
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