線香花火
さっきよりも大きな声で。
それでもやっぱり、彼女は見てはくれなかった。
「かなちゃん、怒ってるの?」
よく見ると彼女の顔は少しムスッとしていて、どこか寂し気な顔をしている。
学校で何か嫌なことでもあったのだろうか?
いや、今は八月で夏休みのはず。
そういえばなんだかいまの彼女は、すこし背が伸びたみたいだ。
僕の知っている彼女は僕の目線より低い身長で、髪の毛も肩につくかつかないかくらいだったはずなのに。