線香花火
それなのに僕が今見ている彼女は、僕の目線の上ぐらいの身長で、腰まで伸びた髪が風で揺れている。
なんだか大人になっているみたいだ。
すこし会わないだけでこんなにも大きくなるものなのだろうか?
いいや、僕と彼女が会ったのはほんの数日前が最後でこんなにも変わるはずもない。
もしかして、これは夢なのだろうか。
夢の中まで僕は彼女のことを考えるようになったのかな。
そんな女々しい男に僕はなってしまったのか。
「かなちゃん、なんか変だよ」
そういって立ち尽くすの手を僕が彼女の掴もうとすると同時に、立ち尽くしていた彼女が一歩足を前に進めた。
そのせいで、掴もうとした僕の手は見事に空ぶった。