線香花火
それがなんだかやけに寂しく感じた。
僕と彼女は親同士が仲がいいお隣同士の幼馴染。
何をするにもいつも一緒だったし、どこに行くにも家族同士の付き合いだった。
毎年夏になると決まって八月中旬に花火をするのが恒例行事となっていた。
僕と彼女は線香花火がとくに気に入ってて、いつもどちらが最後まで残るか競い合っていた。
いっつも僕が負けていて、彼女の線香花火は残ることが多かった。
その度に彼女は
「私の勝ちだから、私のお願い事聞いてくれる?」
なんて笑いながら言っていた。