誰も知らない間に全てを失った君へ

彼岸花

今日もまた笑うだけ
笑って誤魔化して1人で勝手に傷ついて
誰も私を愛してくれない
なにも、気づいてくれないんだ。
愛されたいとか、最初から
期待しなきゃよかった。

私が高校1年生になってはじめての夏休みがもうすぐ終わろうとしている。でも友達と遊びに行くのは愚か、ほとんど家にいる。約束はしていたのに雨だったり部活だったりそんな理由でみんなに断られて、あーあ寂しい。今日だって本当は映画行く予定だったのに昨日になってドタキャンされたし、最悪だ。


「ほーらやるよ、いおり。」
私は今お姉ちゃんと勉強している。高校3年で受験生なのに私に勉強を教えてくれるなんて感謝しかない。
「お姉ちゃん、疲れた。」
「何言ってんの、まだ2問しか解いてないけど。ほらやるよ。
「あれ?これどうやって解くんだっけ、」
「はぁ?あんたこれで何回目よ。さっきから何回も言ってるのになんで分かんないの?」
「あぁごめん。」

この会話、何回目だっけ。
なんで私ってこんな物覚え悪いんだろ。
お姉ちゃんは毎日毎日、夜遅くまで勉強して沢山の結果を残してきた。あと、お兄ちゃんと妹がいるけど2人とも元々頭が良かったらしく、お兄ちゃんは医者を目指して医大に通っている。一方の妹は今小学4年生にも関わらず中学受験をすると言って勉強を頑張っている。じゃあ、私は?私は勉強なんて本当に真ん中で普通の平凡な女子高生。なんの取り柄もない女。唯一運動が出来るくらいしかない。こんな兄弟がいるからか、周りからはよく期待されていた。それも最初だけ、結局なにも上手くいかず相手を怒らせて、失望されて終わり。中学の頃だって、バスケ部に入っていたけど、お姉ちゃんがの部長だからって顧問に期待されて、少しミスすると怒られてすぐに試合に出られなくなった。
ずっとだよ。小学校の頃からずっと。親になんてとっくに見捨てられてるはず。私が怪我して接骨院でも病院でもいいから行きたいって言ってもそのくらい大した事ないって言う。それで他の兄弟を優先する。全てにおいて私は後回し。最後なんだ。お兄ちゃんもお姉ちゃんも妹も運動が得意だから、やっぱり私は下だった。だから高校も2人と違う高校を選んだ。そのおかげで受験勉強あんましなくて済んだけど、!それに友達も沢山できたしね。
これからどうなるんだろう。失望されるのも、裏切られるのも怖いけど暗闇の先にはきっと光り輝くようないいことが待ってるはず。それが、どんな形で出会ったとしても。私はきっとその幸せを愛するだろう。結末がバッドエンドだとしても。きっと。
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