冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
朝食が済むと、朱李はバルコニーで煙草を吸う。

そして千鶴は片付けを済ませ、バルコニーに来て朱李に抱きつくのだ。
煙草を吸っている朱李を見上げ、少し話をする。
話の内容は日によって違うが、バルコニーで話をするのは二人の朝の日課なのだ。

「仕事始めだね!」
「そうだな」

「今年はお休みが長かったから、なんだかちょっと億劫だね……(笑)」

今年の元旦は水曜日だった為、正月三が日が水・木・金になる。
去年の仕事納めが、27日(金)だった。
その為、正月休みが9連休だった二人。
(朱李はトラブルの為、元旦は出勤したが……)

その為か、少し仕事が億劫になっていた。

「フフ…だな(笑)
さっきテレビでも言ってた。
インタビュー受けてた奴等が、仕事行くの億劫だって。
ちづちゃんは沙都(さと)に言って、休んだら?」
「ううん!
朱李くんがお仕事してるんだもん!
私も、頑張んなきゃ!」

「相変わらず、一生懸命だな!
そうゆうとこ、大好きだよ!」

「うん////
でもね…本音は違うの…////」
「ん?」

「朱李くんがいないから、寂しくて……
お仕事してると、気が紛れるから……!」

「……//////」
(なんでこんな、可愛いんだよ…!?//////)
自分に抱きつき、見上げ、更にこんな可愛いことを言われて……朱李は煽られていた。

「朱李く━━━━━ンン…」
朱李は千鶴の言葉ごと、口唇を奪ったのだった。



二人、一緒にマンションを出て車に乗り込んだ。
朱李の運転で、千鶴は職場でもある友人宅へ送ってもらう。
友人宅の前で降ろしてもらい、別れた。

千鶴は週三日、中学の同級生で親友・鷹原(たかはら) 沙都の仕事の手伝いをして、小遣い程度働いている。

沙都はハンドメイドの会社を立ち上げ、千鶴を含めた友人に手伝ってもらいながら生計を立てている。

沙都の仕事はみんなそれぞれ自宅で行うのだが、千鶴は毎回沙都の家で仕事をしている。

メリハリをつけたいのと、千鶴は不器用なので沙都に見てもらいながら作るからだ。



インターフォン越しに、呼びかけ玄関を開けてもらう。
「沙都ちゃん、明けましておめでとう!
今年も、よろしくね!」

「よろしく、ちづ!
上がって?」
笑顔で挨拶をし、中に入ったのだった。
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