冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
「ちづ。
去年作ってくれたピアス、好評よ!
あっという間に、売り切れ!!」

「ほんと!?
嬉しい~!!」

千鶴は、朱李と片方ずつお揃いのピアスをしている。
鶴の羽をモチーフにしたピアスだ。
沙都にデザインを提案し、沙都と一緒に考えて作ったピアスだ。
そして沙都も、鷹の羽をモチーフにしたピアスを夫婦で片方ずつしている。

千鶴と朱李は、その中でも特別なデザインをしているが。


「頑張ったもんね!」
「うん!」

「それで、今年もあんな感じの作ってほしいの!」
「うん!了解!!
それでね!私も相談しようと思ってたんだけど、今度は羽じゃなくてしっぽとかどうかな?
猫とか犬とかのしっぽ!
簡単に、またデザインを書いてきたんだけど……」

「おっ!いいんじゃない?
じゃあ……こんな感じで━━━━━━━━」

早速取りかかる、千鶴。
そしてお互い作業をしながら、沙都が話しかけてきた。

「ちづ。
今年の朱李の新年会は、いつ?」
「え?えーと…確か、今週の金曜日だったと思う!」

「ん。
じゃあ、私達も金曜日に新年会しよ?」
「うん!
良かった~
夜、朱李くんがいないから一人でどうしようって思ってたの!」

「フフ…そんなことだろうと思ってた!」
「でも、琉太(りゅうた)くんは大丈夫なの?」
「うん。来年中三よ?あいつ。
留守番、心配することないのよ!」

「え!!?じゃあ…もう、受験生なんだ!」
琉太は沙都の一人息子で、沙都が15歳の時に産んだ子だ。
だから沙都は、中卒なのだ。


「そうよ!私達はもう、若くないのよ!(笑)
29よ!もうすぐ、三十路よ!(笑)」
「まぁそうだけど……」

「フフ…でもまぁ、ちづは若いわよね、なんか…!」
「そう?」
嬉しそうに微笑む、千鶴。

「あ、いや。
若いってゆうかー、幼い?(笑)」

「あーー、酷ーい!(笑)」


それから昼食を挟み、今日の分の作業を終えた千鶴。

沙都と一緒に、コーヒーを飲んでいた。

すると、リビングが開いて沙都の旦那・周太(しゅうた)が入ってきた。
「あ、ちづだ。おはよー」
少し眠そうに言う、周太。

「こんにち━━━━━━キャッ!?/////」
千鶴は顔を隠し、真っ赤にする。

なぜなら周太は、下着姿だったからだ。

「ちょっ…周太!!!
あんた、服着なさいよ!!」
沙都が慌てて、ソファに掛けていたブランケットを周太に羽織らせた。
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