冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
「あー、わりぃ…正月ボケ…」

周太は、沙都や千鶴の二つ年上。
朱李や千鶴、朱果の高校の先輩で、当時高校二年生だった。
(朱李は、被ってない)
沙都の妊娠が発覚し、高校を卒業して籍を入れた。
今は、人気ホストクラブのオーナーだ。

周太はいわゆる不良で、暴走族の総長だった。
左胸や首、左腕にかけて大きな“鷹”の刺青があり、強面で恐ろしい男だが、寛容で仲間にとても慕われていた。
それは今でも変わらず、周太には沢山の友人や後輩がいる。
(中には、周太のクラブのホストもいる)

そして朱果とも、とても仲が良いのだ。
(しかし朱李とは、よく喧嘩をしている。もちろん、良いライバルのような感じだが)

沙都と周太もとても仲が良く、周太は沙都にキスをし出した。
「ちょっ…やめ……バカッ、ちづがいんのよ!?」
「んー、いいじゃねぇか……!
ちづだって、キスマークつけてんだから!」

「え……」
フリーズする、千鶴。

「ちょっと!言っちゃダメだって!」
「え!!?どこ!?」

「首」
周太が、自分の首を指しながら言った。
慌てて千鶴は、手鏡を出し確認した。

「あーー!もう!
見えるとこにはしないでって言ったのに……」
元旦につけたキスマークが千鶴にバレなかったので、それからも朱李はつけていたのだ。

「朱李らしいな…!まぁ、気持ちはわからんでもないが(笑)」



「━━━━━━沙都ちゃん、今日は少し持って帰ってしようと思うんだけど、いいかな?」
「もちろんいいけど、あんま無理しないでよ?
じゃないと、朱李が怒鳴りこみに来るんだから(笑)」

「わかった(笑)」
千鶴が帰ろうと玄関に向かうと、ちょうど琉太が外から帰ってきた。

「あ、琉太…くん?」
「あ、はい」
「覚えてるかな?
お母さんの友達の━━━━━」
「千鶴さん」
「うん!久しぶりだね!」
「はい」
「フフ…周太さんに、そっくりだね!」
「あ、よく言われます」

「りゅう、お前外いたの?」
そこに周太が来る。

「親父、服着ろよ…
千鶴さんいんだぞ」
「いいんだよ!ちづも、首にキスマークつけてんだから。な!」

「あ、ちょっ…周太さん!ダメだよ!中学生にそんな……/////」

「ちづ、お前…ほんと、ウブだなぁー」
「え?」
「今時の中学生のガキが、キスマークくらいで動揺するかよ…!」
「え?そうなの?」

「こいつだって、ヤりまくってんだから!」

「は?うるせーよ!!」

千鶴はその様子を、微笑ましく見ていた。
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