冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
「え?ちづちゃん?」

「いいよ!
朱李くんのモノになるよ!
朱李くんが望むなら、閉じ込められていいよ!」

「千鶴…」

「私は、いつだって朱李くんのことしか考えてないんだよ?
朱李くんに“美味しい”って言ってほしくてお料理頑張ってるし、朱李くんに“可愛い”って言ってほしくて頑張ってお洒落してるし、朱李くんがいない寂しさを埋める為にバイトしてるし、朱李くんに“頑張ったね”って言ってほしくて家事も頑張ってるんだよ?
━━━━━全部“朱李くんの為”だよ!
私不器用で、まだまだ何をやっても下手だけど……
朱李くんが愛してくれるなら、何でもする!
私だって、朱李くんのこと好きすぎてどうしたらいいかわからなくなるんだよ?
だから━━━━━━」


バシャーーーーン!!!と水しぶきが飛ぶ。

千鶴がおもいきり、朱李に向かって抱きついたからだ。
水の中にもぐる二人。

そのまま、口唇が重なった━━━━━━━



「ん…あ…ぁ…んぁ…朱李く…もう、だめ……」
部屋に戻り、ベッドに直行した二人。

お互いの溢れる想いを確かめるように、抱き合っていた。

「俺の方がダメ……まだまだ、足りない……!
千鶴…俺を見て?
俺の目を見てて、そらさないで!」

更にググッと繋がり、千鶴の身体が仰け反った。
朱李と繋いでいた手に力が入る。
「んんぁっ……!!!?」

「あんな最高な告白聞かせられて、止めるなんてできねぇ…!!」

そして千鶴の背中に両手を回し、グッと起こした。

「ねぇ…千鶴。
俺の名前呼んで?」
少し見上げて、千鶴の口唇をなぞる。

「朱李く……」

「もっと」

「朱李くん…」

「もっとだ。もっと、呼んで?」

「朱李くん……朱李く…好き、大好き…」

「うん。
千鶴…千鶴……千鶴…俺も、大好きだ…」


このまま、時間が止まればいい━━━━━━━━


時間を忘れる程、お互いがお互いを想い合い抱き合っていた。



「━━━━━━うー、身体が思うように動かない……」
漸く落ち着いたのはいいが、千鶴はぐったりしていた。

「フフ…そうだな(笑)
さすがに疲れたな(笑)」

「朱李くん」
「んー?」
朱李は肩肘をつき、いつもように千鶴の頭を撫でている。

「幸せ……!」
「え?」

「私、スッゴく幸せ!」
満面の笑みで言う。

「……/////」
ピタッと手の動きが止まった。

「ん?朱李くん?」

(だからぁ!なんで、こう……俺を煽るんだよ!?
千鶴は……!!)

「え?え?朱李く━━━━━」
千鶴を組み敷く、朱李。
そして額をくっつけた。

「幸せなのは、俺の方…/////」
「うん////」

「ちづちゃん」
「ん?」

「これからも、ずーーーっと一緒にいようなっ!」

二人の口唇が、ゆっくり重なった。
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