冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
それから順番が来て、手を合わせた二人。

“ちづちゃん(朱李くん)が、これからも元気で幸せでいられますように……!”

二人は、同じ願いを込めていた。


結局、おみくじを買うことにした二人。
おみくじをひくと……

「あ…小吉だ……!」
千鶴は、少し嬉しそうに朱李を見上げた。

「ほんとだ!」
「朱李くんは?」

「ん?」
朱李の手の中のおみくじを覗く。

「あ!小吉!お揃いだ!」
「フフ…
結ぼ?」
「うん!」

背の高い朱李。
一番高い位置に結んだ。

「朱李くん、私のも朱李くんの隣に結んでくれない?」
「いいよ!」
二人のおみくじが並んでいるのを見て、千鶴は微笑んだ。



千鶴が福袋を買いたいとのとこで、百貨店に向かう。
「ちづちゃん、押し潰されないように俺の手を離さないでくっついてな!」
「了解です!」


「━━━━━━って…ちづちゃん、潰されてる…(笑)」
「うー、足踏まれた…」
「大丈夫?
今日はやめとく?」

「ううん。
今年は絶対、◯◯の福袋を手に入れるって決めてるから!
今日じゃないと、きっと売り切れると思うの。
人気だからね!
服、凄く可愛くて好きなの。
普段は高くて、お金貯めてからじゃないと手に入らないから」

「…………ちづちゃん。
俺が渡してるカード、ちゃんと使ってるよな?」
「もちろん!それで、お買い物してるから」

「それは、当たり前!
そうじゃなくて!ちづちゃんの服とか靴とか、化粧品とか……とにかく、ちづちゃんの物」
「え?あ…」

「もしかして、自分で!?」
「だって、私の使うものだし…
ほら!私も、お小遣い程度は働いてるんだし」

「千鶴」
「え……?」
「約束したよな?
ちづちゃんの私物も、カードで払うって!」

「う、うん…」
「俺達は夫婦だよ?
ちづちゃんは俺が養うって言ったよな?」

「うん」
「はい、じゃあ…福袋はカード払いだよ?」

「わかった」

目当ての福袋をゲットし、レジへ向かう。
「22,000円です」
「あ、カードで…」

本当は、自分のお金を出すつもりだった千鶴。
おずおずと、カードを出したのだった。


「朱李くんは、ないの?買いたい物」
「そうだな。
買いたい物は、その時に買うから。
それよりも、実家に行かないと!
お義母さん待ってるよ?」

「うん」
二人は、車に乗り込んだ。
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