冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
新年度と激しいヤキモチ
季節は春になり、KUSU家具に新入社員が入社してきた。
「社長、副社長!
新人の比々野です」
「初めまして!
比々野です!よろしくお願いします!」
「社長の朱果です!比々野さん、よろしくね」
「よろしく」
微笑む朱果と、無表情の朱李。
「……ったく…朱李!
こっちは、副社長の弟、朱李だよ」
「よろしくお願いします!」
比々野は、緊張で表情を固くしながら挨拶した。
比々野はとても真面目だが、おっちょこちょいな社員だった。
その姿が千鶴と重なり、朱李は比々野にたいして“だけは”少し大目に見ることが多くなっていた。
「比々野」
「は、はい!」
「これ!間違ってるぞ」
「あ…も、申し訳ありません!」
「………」
『ご、ごめんね!朱李くん!』
千鶴の姿と重なる。
「あ…副社長…?」
「あ、いや、気を付けろよ!」
「はい!すみませんでした!」
比々野は深く頭を下げ、副社長室を出ていった。
「━━━━━━どうしたの?朱李」
「あ?」
「比々野さんことだよ。
彼女のことに関しては、随分寛容だから。
いつもの朱李らしくない」
ある日のランチ。
朱李は、朱果と和食店に来ていた。
「別に。
ただ……比々野が、千鶴に似てるから。
時々、重なるってだけ」
「あー、確かに!
真面目なとことか不器用なとこ、似てるね」
「だからって、どうってことはない。
千鶴と比々野は別人だ」
「“優しさは、大切なモノを見失う”」
「は?」
「高校の時、千鶴に言われたんだ。
朱李も、気を付けなよ」
「━━━━━副社長」
「何だ」
「これ、差し入れです。
良かったら、飲んでください!」
そのまた後日。
比々野の失敗のせいで、朱李は残業をしていた。
比々野がカフェ・オ・レをデスクに置いた。
朱李は、コーヒーはブラックしか飲まない。
「………」
「副社長?
お疲れかと思ったので、甘いものを……
このカフェオレ、甘いんですが美味しいんですよ!」
「ん。
そこ置いといて」
「はい」
「嫁さんが家で待ってるから、早く終わらせたい。
ここはいいから、お前も作業に取りかかれ」
「はい!」
朱李は、カフェ・オ・レを鞄に入れた。
「社長、副社長!
新人の比々野です」
「初めまして!
比々野です!よろしくお願いします!」
「社長の朱果です!比々野さん、よろしくね」
「よろしく」
微笑む朱果と、無表情の朱李。
「……ったく…朱李!
こっちは、副社長の弟、朱李だよ」
「よろしくお願いします!」
比々野は、緊張で表情を固くしながら挨拶した。
比々野はとても真面目だが、おっちょこちょいな社員だった。
その姿が千鶴と重なり、朱李は比々野にたいして“だけは”少し大目に見ることが多くなっていた。
「比々野」
「は、はい!」
「これ!間違ってるぞ」
「あ…も、申し訳ありません!」
「………」
『ご、ごめんね!朱李くん!』
千鶴の姿と重なる。
「あ…副社長…?」
「あ、いや、気を付けろよ!」
「はい!すみませんでした!」
比々野は深く頭を下げ、副社長室を出ていった。
「━━━━━━どうしたの?朱李」
「あ?」
「比々野さんことだよ。
彼女のことに関しては、随分寛容だから。
いつもの朱李らしくない」
ある日のランチ。
朱李は、朱果と和食店に来ていた。
「別に。
ただ……比々野が、千鶴に似てるから。
時々、重なるってだけ」
「あー、確かに!
真面目なとことか不器用なとこ、似てるね」
「だからって、どうってことはない。
千鶴と比々野は別人だ」
「“優しさは、大切なモノを見失う”」
「は?」
「高校の時、千鶴に言われたんだ。
朱李も、気を付けなよ」
「━━━━━副社長」
「何だ」
「これ、差し入れです。
良かったら、飲んでください!」
そのまた後日。
比々野の失敗のせいで、朱李は残業をしていた。
比々野がカフェ・オ・レをデスクに置いた。
朱李は、コーヒーはブラックしか飲まない。
「………」
「副社長?
お疲れかと思ったので、甘いものを……
このカフェオレ、甘いんですが美味しいんですよ!」
「ん。
そこ置いといて」
「はい」
「嫁さんが家で待ってるから、早く終わらせたい。
ここはいいから、お前も作業に取りかかれ」
「はい!」
朱李は、カフェ・オ・レを鞄に入れた。