冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
「━━━━━あ、千鶴…また、キスマークついちゃった!」

何時間経ったのだろう━━━━━━

何度果てても、千鶴は解放させてもらえなかった。
朱李は、幸せそうに千鶴の身体にキスマークをつけていく。


「千鶴」
「ん…」

「俺にも、キスマークつけて?」

「え?」

「そしたら、千鶴は安心するんじゃない?
俺は、千鶴のモノって印だろ?」

千鶴をゆっくり起こした朱李は、首を指差し“ここ!”と微笑んだ。

「うん…」
千鶴は、朱李の首におもいきり吸い付いた。

「………ついた?」
「うん…ついたよ」

「よし!
千鶴、お揃いだ!
これで、安心だろ?」
「うん…」

「だからちづちゃん、笑ってよ!
いつもみたいに、俺を癒して?」

「朱李くん…
うん!
朱李くん、お仕事お疲れ様!」

「うん!ちづちゃん、ただいま!」


千鶴は、比々野のことを朱李に聞く。

「━━━━━━そうだったんだ。
私に、似てたから……」
「そう。
でも“似てる”ってだけ!
ちづちゃんとは“全然”違うからな!
比々野は、いつも一生懸命だったから。
切り捨てる必要がなかっただけ」

「そっか!」
「でも、ヤキモチ妬くちづちゃんも可愛かったな!」

「もう!からかってるでしょ!?」
「フフ…」


それから一緒に風呂に入り、ベッドに横になろうとしていた二人。
サイドテーブルに置いていたスマホを見る。

「ん?メッセージだ。
沙都ちゃん?」

『大丈夫だった?
りゅうに聞いたよ。泣いてたって。
何があった?
いつでも聞いてやるから、連絡してきな!
あと、りゅうがストラップをかなり気にいってたよ!』

「そうだ。琉太くんにも、ちゃんと謝らなきゃ!」

沙都に返事を返そうとして操作していると、ヒョイとスマホを取り上げられた。

「え……!?」
「何の話?
琉太って、誰?」

後ろから朱李がのしかかるように抱きつき、耳元で囁いた。

「ひゃぁ…/////
朱李く…耳元で喋らないで////」
「こ、れ!
誰?」

千鶴のスマホをプラプラさせ言った、朱李。

「沙都ちゃんだよ?
琉太くんは、沙都ちゃんの息子さん」
「あー!あのチビか!
いたな、そんなの」

「そんなのって……
相変わらずだな(笑)
春から、中学三年生なんだって!」
「ふーん」

「興味、なさそう…(笑)」
「うん、ない。
千鶴以外、興味ない。
千鶴しか、いらない」

朱李は、千鶴の顔を後ろに向けさせキスをした。



「あ、ちづちゃん。
言っとくな!
俺の嫉妬は、ちづちゃんの何十倍も激しいからな。
覚えておいて?」
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