冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
花見と冷たい怒り
あるぽかぽかした、日曜日━━━━━━
「朱李くん」
「ん?」
「お花見行かない?
お天気いいし!」
「うん、いいよ!」
「お弁当、一緒に作ろ?」
「OK!」
「━━━━━ひゃぁっ!?
く、崩れた……」
やっぱり、玉子焼を崩してしまう千鶴。
「フフ…大丈夫!」
安心させるように頭を撫でる、朱李。
「朱李くんは、ほんと器用だな~
綺麗……!
私なんかと、大違い……」
「そう?
でも、ちづちゃんも少しずつ腕あげてる。
だから、大丈夫!」
弁当を作り、公園へ向かう。
しかし………何やら、千鶴はスマホを見ながら歩いている。
「ちづちゃん、何見てるの?」
「え!?
えーと…こ、この辺にいいお花見場所があるって聞いたから……」
しどろもどろになる、千鶴。
「誰に?」
「えーと…」
「兄貴…じゃねぇよな……
沙都やゆかりじゃ、隠す必要ない。
あとは……
とにかく、男だな!?」
「え!!?」
「やっぱり……」
分かりやすく動揺している千鶴に、朱李はため息をつきながら言った。
「誰に、何て言われた?」
「………」
「千鶴!言えよ!」
相手は千鶴なので比較的穏やかではあるが、鋭い視線で詰め寄る朱李。
千鶴はビクッと震え、白状した。
「哲樹くんって、覚えてる?」
「忘れた……」
嘘だ━━━━━━━
本当は、忘れたくても忘れられない男。
「…………嘘。
覚えてる」
哲樹は、千鶴の大学生の時の友人だ。
千鶴は朱果や朱李とは、頭の出来が違う。
なので、違う大学に通っていた。
沙都もいない。
ゆかりは違う大学。
一人で心細くしていた千鶴を、気遣ってくれたのが哲樹だったのだ。
哲樹のおかげで他にも友人ができ、楽しい大学生活が過ごせたのだ。
千鶴にとって、大切な友人だ。
「哲樹くんから、久しぶりに連絡が来たの。
会えない?って。
朱李くんにも、会いたがってたから……
ごめんね!騙すようなことして。
でも久しぶりだし、朱李くんに会いたがってたし……」
「………」
「やっぱ、嫌…かな?」
嫌に決まってる━━━━━━
千鶴が、とても慕っていたことを知っているから尚更。
哲樹は、千鶴を気にかけていてよく助けていた。
たった二歳の年の差を、朱李は何度悔やんだかわからない。
同い年だったら、ずっと傍にいてあげられたのに━━━━と。
ほんとは、このまま“二人きり”で花見をしたい。
でもやはり、千鶴に言われてしまうと断れない。
朱李は、しかたなく頷くのだった。
「ううん。わかった」
「朱李くん」
「ん?」
「お花見行かない?
お天気いいし!」
「うん、いいよ!」
「お弁当、一緒に作ろ?」
「OK!」
「━━━━━ひゃぁっ!?
く、崩れた……」
やっぱり、玉子焼を崩してしまう千鶴。
「フフ…大丈夫!」
安心させるように頭を撫でる、朱李。
「朱李くんは、ほんと器用だな~
綺麗……!
私なんかと、大違い……」
「そう?
でも、ちづちゃんも少しずつ腕あげてる。
だから、大丈夫!」
弁当を作り、公園へ向かう。
しかし………何やら、千鶴はスマホを見ながら歩いている。
「ちづちゃん、何見てるの?」
「え!?
えーと…こ、この辺にいいお花見場所があるって聞いたから……」
しどろもどろになる、千鶴。
「誰に?」
「えーと…」
「兄貴…じゃねぇよな……
沙都やゆかりじゃ、隠す必要ない。
あとは……
とにかく、男だな!?」
「え!!?」
「やっぱり……」
分かりやすく動揺している千鶴に、朱李はため息をつきながら言った。
「誰に、何て言われた?」
「………」
「千鶴!言えよ!」
相手は千鶴なので比較的穏やかではあるが、鋭い視線で詰め寄る朱李。
千鶴はビクッと震え、白状した。
「哲樹くんって、覚えてる?」
「忘れた……」
嘘だ━━━━━━━
本当は、忘れたくても忘れられない男。
「…………嘘。
覚えてる」
哲樹は、千鶴の大学生の時の友人だ。
千鶴は朱果や朱李とは、頭の出来が違う。
なので、違う大学に通っていた。
沙都もいない。
ゆかりは違う大学。
一人で心細くしていた千鶴を、気遣ってくれたのが哲樹だったのだ。
哲樹のおかげで他にも友人ができ、楽しい大学生活が過ごせたのだ。
千鶴にとって、大切な友人だ。
「哲樹くんから、久しぶりに連絡が来たの。
会えない?って。
朱李くんにも、会いたがってたから……
ごめんね!騙すようなことして。
でも久しぶりだし、朱李くんに会いたがってたし……」
「………」
「やっぱ、嫌…かな?」
嫌に決まってる━━━━━━
千鶴が、とても慕っていたことを知っているから尚更。
哲樹は、千鶴を気にかけていてよく助けていた。
たった二歳の年の差を、朱李は何度悔やんだかわからない。
同い年だったら、ずっと傍にいてあげられたのに━━━━と。
ほんとは、このまま“二人きり”で花見をしたい。
でもやはり、千鶴に言われてしまうと断れない。
朱李は、しかたなく頷くのだった。
「ううん。わかった」