冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
「千鶴!」

待ち合わせ場所に向かうと、哲樹ともう一人友人が待っていた。

「あ、哲樹くん!
お待たせ!ごめんね、迷っちゃって……」
「フフ…相変わらずなんだなー」

「お恥ずかしい…//////」

「朱李も、久しぶり!」
人懐っこく微笑む、哲樹。

しかし朱李は、無表情でただ見ていた。

「朱李も、相変わらずだなー」
「…るせぇよ…」

「やっぱ、相変わらずだ!
この、警戒心と嫌悪(笑)」

「ご、ごめんね!
……………朱李くん!ダメだよ、笑って?」

「嫌。
ちづちゃんになら、いくらでも笑えるけど」
「もう…
それより、こちらは?」

「あ、俺の会社の同僚の間野(まの)
間野、こっちが話した千鶴と彼氏の朱李。
朱李は、KUSU家具の副社長なんだ!」

「ちげーよ」

「え?」

「“彼氏”じゃねぇ!
“旦那”!!」

「あ、そうそう!
旦那の朱李」

「間野さん、こんにちは!」
「こんにちは/////」
千鶴が微笑み挨拶すると、間野は少し照れたようにはにかんだ。

「朱李くんも!挨拶しないと」
「どうも」



「━━━━━━で?狙いはなんなの?」
近くの木陰にレジャーシートを敷き、寛ぐ四人。
朱李が、哲樹を見据え言った。

「狙いって……
久しぶりに千鶴に会いたいと思ったの!」

「信用できない」

「はぁ…ほんとだって!
先週、大学ん時のメンバーと間野達会社の同僚で久しぶりに飲んだんだ。
その時に、千鶴はどうしてるかなって話になったの。
間野が、会ってみたいって言うから連れてきただけ!」

「なんで、千鶴の話がでんの?」

「え?あ…それは…/////」

「………哲樹くん?」

「………惚れてたからだろ!どうせ」

「え/////」

「バレてんだよ!?
お前…大学ん時、千鶴のこと狙ってただろ!?」

「なんだ、バレてたのか…(笑)」

「わかってなかったのは、千鶴だけ」

「え?え?」

「やっぱ、気づいてなかったよね?千鶴」
「え?」
「俺さ。
千鶴のこと、好きだったんだ。
だから、ことある毎に気遣ってたんだよ?」

「え?そう…だったの…?
ごめんなさい。私、全く……」

「だろうな。
朱李のことしか見えてなかったもんな!
助けてたのは俺なのに“朱李くん、朱李くん”って」

「あ…////ご、ごめん////」

「ちづちゃん、そんなこと言ってたの?」
「あ…いや、その…/////」
「可愛いんだけど!」

朱李は嬉しそうに、千鶴を見て微笑んだ。

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