冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
千鶴は、幼い時に父親を亡くしている。
その為、母子家庭で育った。

朱李と千鶴の住むマンションの近くにある、アパート。
そこが、千鶴の母親の住まいだ。

千鶴の母親は、癌が見つかり手術をして退院したばかりなのだ。
とりあえず大丈夫なのだが、何かあった時すぐに駆けつけられるように近くにマンションを買った朱李。

そうゆうところも、千鶴は朱李に感謝している。


「お母さん!」

「ちづ、朱李くん。
明けましておめでとう!」
「明けましておめでとうございます!
今年も、よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる、朱李。

そして、封筒を渡した。
「お義母さん、これ…俺達からです」

「え!?これ……
━━━━━!!!?こんなに…!?
ダメよ、朱李くん!」
封筒の中身は、札束だった。

「受け取ってください。
これくらいしか、出来ないから……
ほんとはお義母さんと同居した方が良かったんでしょうが、俺のワガママで別居にさせたから」

「そんな…私は、一人でも生きていけるから大丈夫よ!
こんなだけど貯金はあるし、落ち着いたら仕事復帰できるのよ!
それにこっちこそ、こんな不器用でドジな子をもらってくれて感謝してるんだから!」

「そんなこと……俺が先に、千鶴さんに惚れたんですよ?(笑)
それに、毎月の仕送りを拒否されたって聞いたので、年に一度だけでも!」

「朱李くん、ほんと…素敵な旦那さんね!
そこまで言うなら、有り難く……!
ありがとう!朱李くん、ちづ」



千鶴の母親と一緒に昼食を食べゆっくりしてから、今度は朱李の実家に向かった。

朱李の母親も亡くなっていない。
そして朱李には、父親と兄が一人いる。

千鶴とは違い、朱李の実家は豪邸だ。
そこに、父親と兄が住んでいる。

「お帰りなさいませ、朱李さん、千鶴さん」
家政婦の満永(みつなが)が出迎えた。

「明けましておめでとうございます、満永さん!」
「ん。
親父と兄貴は?」

「リビングにいらっしゃいますよ」

リビングに向かうと、父親と兄・朱果(しゅか)がソファで寛いでいた。

「親父、兄貴。
来たよ」
「お義父さん、朱果くん。
明けましておめでとうございます!」

挨拶すると、二人は微笑みソファに促した。

「明けましておめでとう!
待ってたよ、千鶴ちゃん」
「朱李、千鶴。明けましておめでとう!
ほら、座って!
まずは、飲もう!」

そして、朱李と千鶴に酒を出した。
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