冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
一度、びっくりしたように目を見開いた朱李。
でもすぐに嬉しそうに受け入れ、目を瞑った。

口唇を離し、微笑み合う二人。

「ちづちゃん、なんかエロっ…/////」
「え……」
「可愛くて…興奮する……!」

「朱李く…も…一回……」
また口唇を寄せる、千鶴。

「フフ…千鶴も興奮してるの?(笑)
可愛い……!」

そして口唇が重なった。
貪って離すと、千鶴が潤んだ瞳で見つめていた。

「ちづちゃん、泣いてる?」

「ん…だって、嬉しくて…!
私のために、朱李くんがここに連れてきてくれた。
大好きな朱李くんと、こうして触れ合えることも…!」
「うん…俺も、幸せだよ!」

そう言って、また口唇を寄せる。



すると━━━━━━━


ガタン━━━━━
━━━━━━━
━━━━━━━

と、ドアの方から物音が聞こえてきた。

「え………な、何!!?」
ビクッと震え、千鶴は朱李にしがみついた。

「………」
朱李は千鶴を安心させるように頭を撫で、ドアの方に向かう。
ドアを開け確認するが、シーンと廊下は静まり返っていて誰もいない。

「誰もいないよ。
大丈夫。
ここは24時間、警備員が常駐してるし!
帰ろうか?
帰って、いっぱい続きしよ?」

微笑み言った朱李は、千鶴の腰を抱き会社を出た。


KUSU家具・本社から出ていく、朱李の高級車。
それを、黒い人影が見つめていた。

不穏な空気が流れていた。


後日━━━━━━━━
この日、仕事が休みで朱李と千鶴はデートをしていた。

「ちづちゃん、あとは?」
「ううん。大丈夫!
それより、ごめんね。こんな沢山重たいものを持たせて……」

「ううん!
“また”一人で重たいものを持って、誰かに捕まったら嫌だし!
それに、このくらい大丈夫!」

「朱李くん、休憩しない?
コーヒーでも飲も?」

カフェに寄り、一服する。

頼んだ飲み物が運ばれてきて、ゆっくり飲む。
「朱李くん、ブラック美味し?」
「うん、美味しいよ!
でも、自分で淹れた方が旨いかも?(笑)」

「フフ…朱李くんは、何でもできるもんね!」

微笑む千鶴に、朱李も微笑んだ。
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