冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
それから数日後━━━━━千鶴は、KUSU家具本社前にいた。
「よし!」
気合いを入れ、中に入る。
「あ、あの。私、楠木 千鶴と申します」
「え?副社長の奥様!?
どうされたんですか!?
今、副社長を呼びますね!」
受付の社員が、驚愕し慌てて内線をかけようとする。
「あ、違うんです!
専務の本間さんを呼んでいただけますか?
大切なお話があると。
あと、主人や義理の兄には、私が来たこと言わないでください。
お願いします!」
数分後、本間がエントランスに現れた。
千鶴は、丁寧に頭を下げ本間を見据えた。
「━━━━━━少し、お時間よろしいですか?」
「すみません、お忙しいのに」
会社を出て、近くの公園に行きベンチに座る。
「いえ。
この前のことは、謝りませんよ?」
「わかってます。
ただ、本間さんの誤解をときたくて」
「え?」
「主人のことです」
「………」
「本間さんの言う通り、確かに主人は冷たい残酷な人です。
でも、誰よりも真っ直ぐで誠実な人なんです」
「………」
既に、千鶴の目は涙で潤んでいた。
でも千鶴は、必死に涙をこらえ言葉を続けた。
「それに、主人こそが“本当の”優しさを持ってる人です!」
「本当の…優しさ?」
「はい。
同情は、結果的に相手を傷つける。
それなら、時には冷たいと思われても突き放す方が相手の為。
バレンタインの贈り物を貰わないのは、中途半端に貰っても気持ちを受け入れられるわけじゃないから。
それに相手に、期待をさせない為。
接待でクラブに行かないのは、私を傷つけない為。
それに……社員さんの退職も、きっとちゃんと理由があるはずです。
しっかりした理由。
本間さんは、その理由をちゃんと聞きましたか?
それに!
もし、本当に私利私欲の為にクビにしてるなら、お兄さんである朱果くんが止めてるはずです!
朱果くんも、とてもしっかりした素敵な人です。
朱李くんの私利私欲の為に、クビなんかにしない。
もっと、朱李くんの中身を見てください!
うわべだけの冷酷な朱李くんじゃなくて、中にある真っ直ぐな朱李くんを!
お願いします!」
千鶴は、深く頭を下げた。
「よし!」
気合いを入れ、中に入る。
「あ、あの。私、楠木 千鶴と申します」
「え?副社長の奥様!?
どうされたんですか!?
今、副社長を呼びますね!」
受付の社員が、驚愕し慌てて内線をかけようとする。
「あ、違うんです!
専務の本間さんを呼んでいただけますか?
大切なお話があると。
あと、主人や義理の兄には、私が来たこと言わないでください。
お願いします!」
数分後、本間がエントランスに現れた。
千鶴は、丁寧に頭を下げ本間を見据えた。
「━━━━━━少し、お時間よろしいですか?」
「すみません、お忙しいのに」
会社を出て、近くの公園に行きベンチに座る。
「いえ。
この前のことは、謝りませんよ?」
「わかってます。
ただ、本間さんの誤解をときたくて」
「え?」
「主人のことです」
「………」
「本間さんの言う通り、確かに主人は冷たい残酷な人です。
でも、誰よりも真っ直ぐで誠実な人なんです」
「………」
既に、千鶴の目は涙で潤んでいた。
でも千鶴は、必死に涙をこらえ言葉を続けた。
「それに、主人こそが“本当の”優しさを持ってる人です!」
「本当の…優しさ?」
「はい。
同情は、結果的に相手を傷つける。
それなら、時には冷たいと思われても突き放す方が相手の為。
バレンタインの贈り物を貰わないのは、中途半端に貰っても気持ちを受け入れられるわけじゃないから。
それに相手に、期待をさせない為。
接待でクラブに行かないのは、私を傷つけない為。
それに……社員さんの退職も、きっとちゃんと理由があるはずです。
しっかりした理由。
本間さんは、その理由をちゃんと聞きましたか?
それに!
もし、本当に私利私欲の為にクビにしてるなら、お兄さんである朱果くんが止めてるはずです!
朱果くんも、とてもしっかりした素敵な人です。
朱李くんの私利私欲の為に、クビなんかにしない。
もっと、朱李くんの中身を見てください!
うわべだけの冷酷な朱李くんじゃなくて、中にある真っ直ぐな朱李くんを!
お願いします!」
千鶴は、深く頭を下げた。