冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
クリスマスと結婚記念日は最高の日
本日は12月25日。

世間はクリスマス。
そして朱李と千鶴は、去年のこの日に籍を入れた。


とても天気の良い昼下がり。
キャリーケースをゴロゴロ引いて、駅に向かう二人。
「えーと…何時の電車だっけ?」
「んーと、2時8分かな?」

「あれ?どこのホーム?」
「フフ…2番線(笑)」

「了解!
…………2番線?何処?」
「こっち(笑)」

繋いている手を引く。

「うー」
「ん?どうした?ちづちゃん」

「私、全然!役にたたないね……」
「そんなこと、気にしなくていいよ?」

「だって……これから子どもができたら、もっとしっかりしなきゃでしょ?」

「そうだけど。
大丈夫だよ?俺がいる!
だって、子どもはちづちゃんが一人で育てるんじゃないよ?
“俺達二人の”子どもだろ?
俺とちづちゃん二人で育てるんだ!
だから、お互いにカバーし合えばいいだろ?」

「そっか!
さすが、朱李くんだ!」

「……てか(笑)
まだ、できてもないのに(笑)
………ってまさか、できた!?」

「え!?違う、違う!
先週、ちょうど生理が終わったとこだし……」
最後の方は、ぶつぶつ小声になる。

「そっか!まぁ、そんな急いでるわけじゃないし!
フフ…今日も、いっぱい愛し合おうなー!」


それから電車に乗り込んだ。
「ちづちゃん、ここあいてるよ!」
「うん!」
並んで座り、寛ぐ。
千鶴はピタッと朱李にくっつき、腕に巻きついた。


「着いたら、荷物置いてショッピングだよな?」
「うん!限定のマフラーがあるの~!」

交際していた時から、クリスマスは二人でショッピングしてお揃いの物を買っている二人。

今年は、マフラーを買うことにしたのだ。


「━━━━━━あ…朱李くん!見て!」
窓の外を指差す、千鶴。

「ん?」
「雪、降ってる!」

「おっ!ほんとだ!
このまま降り続けたら、夜には積もるかもな?」

「ホワイトクリスマスも、素敵だね!
このまま降り続いて欲しいなぁー」

千鶴は嬉しそうに、外を眺めていた。

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