冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
出逢いと正反対な兄弟
千鶴と朱果は、高校一年から三年の卒業前まで付き合っていた。
朱果は、イケメンで頭がよく優しい。
完璧な学生だった。
入学してすぐ、人気者になり女子達の視線を一気に集めた。
その中に千鶴もいたのだが、アプローチできるわけがない。
自分とはつり合わないと決めつけ、距離を置いていたのだ。
しかし、入学して二ヶ月が経った頃。
高校のふれあい合宿があり、そこで一気に二人は距離を縮めたのだ。
班が一緒になり、不器用な千鶴を朱果が手伝ううちに、千鶴の明るく柔らかな雰囲気に心が奪われたのだ。
千鶴は、不器用ながらもいつも一生懸命楽しそうに物事をこなす。
そんな千鶴に、朱果は惚れたのだ。
順調に交際を続けていき、二人が高校三年に進学した春。
朱李が入学してきたのだ━━━━━━
朱果から千鶴を紹介された時、朱李は何とも思っていなかった。
正反対の朱李の性格だ。
不器用な千鶴のことは、苦手なタイプだったのだ。
何をやっても器用にこなす朱李からしたら、面倒な女にしか見えない。
朱果が何故、こんな面倒な女を彼女にしたのか疑問だったのだ。
朱果には“今にわかるよ”と言われていた。
そんな朱李だが、何故か千鶴を目で追ってしまうのだ。
千鶴は朱果の彼女であるのとは関係なく、いつも輪の中心にいた。
それは、千鶴が明るくいつも親身になって人と接するからだ。
その一生懸命な姿に、朱李は今までに感じたことのない感情に包まれていく。
そんな夏のある日。
夏休みを一週間後に控えた日。
初めて朱李は、挫折を経験したのだ。
夏休み前の試験があり、朱李は二位だったのだ。
今まで、順位が二位なんてなったことのない朱李。
トップ以外は、バカと思っていた朱李。
感じたことのない屈辱感だった━━━━━
それを慰めてくれたのは、他でもない千鶴だったのだ。
「確かに、悔しいね!
私からしたら、二位でも立派すぎるけど……
朱李くんからしたら、最下位と同じ感覚なのかな?
それだったら、悔しいよ!
……………でも、朱李くん。
良い方に考えてみて!
朱李くんは、挫折を経験したんだよ?
もう二度と、挫折しないよきっと!
朱李くん、完璧な人だもん!
もう絶対、同じ間違いは犯さないでしょ?
てことは、挫折しないってことでしょ?」
正直、変な慰め方だと思った。
でも朱李は、心に温かいモノが浸透していく感覚になり、すぐに立ち直ることができたのだ。
朱果は、イケメンで頭がよく優しい。
完璧な学生だった。
入学してすぐ、人気者になり女子達の視線を一気に集めた。
その中に千鶴もいたのだが、アプローチできるわけがない。
自分とはつり合わないと決めつけ、距離を置いていたのだ。
しかし、入学して二ヶ月が経った頃。
高校のふれあい合宿があり、そこで一気に二人は距離を縮めたのだ。
班が一緒になり、不器用な千鶴を朱果が手伝ううちに、千鶴の明るく柔らかな雰囲気に心が奪われたのだ。
千鶴は、不器用ながらもいつも一生懸命楽しそうに物事をこなす。
そんな千鶴に、朱果は惚れたのだ。
順調に交際を続けていき、二人が高校三年に進学した春。
朱李が入学してきたのだ━━━━━━
朱果から千鶴を紹介された時、朱李は何とも思っていなかった。
正反対の朱李の性格だ。
不器用な千鶴のことは、苦手なタイプだったのだ。
何をやっても器用にこなす朱李からしたら、面倒な女にしか見えない。
朱果が何故、こんな面倒な女を彼女にしたのか疑問だったのだ。
朱果には“今にわかるよ”と言われていた。
そんな朱李だが、何故か千鶴を目で追ってしまうのだ。
千鶴は朱果の彼女であるのとは関係なく、いつも輪の中心にいた。
それは、千鶴が明るくいつも親身になって人と接するからだ。
その一生懸命な姿に、朱李は今までに感じたことのない感情に包まれていく。
そんな夏のある日。
夏休みを一週間後に控えた日。
初めて朱李は、挫折を経験したのだ。
夏休み前の試験があり、朱李は二位だったのだ。
今まで、順位が二位なんてなったことのない朱李。
トップ以外は、バカと思っていた朱李。
感じたことのない屈辱感だった━━━━━
それを慰めてくれたのは、他でもない千鶴だったのだ。
「確かに、悔しいね!
私からしたら、二位でも立派すぎるけど……
朱李くんからしたら、最下位と同じ感覚なのかな?
それだったら、悔しいよ!
……………でも、朱李くん。
良い方に考えてみて!
朱李くんは、挫折を経験したんだよ?
もう二度と、挫折しないよきっと!
朱李くん、完璧な人だもん!
もう絶対、同じ間違いは犯さないでしょ?
てことは、挫折しないってことでしょ?」
正直、変な慰め方だと思った。
でも朱李は、心に温かいモノが浸透していく感覚になり、すぐに立ち直ることができたのだ。