冷酷・楠木副社長は妻にだけは敵わない
決定的な出来事が起きたのは、バレンタイン。

朱果と朱李。
正反対の二人。

朝から朱果と朱李は、沢山の女子からチョコ等を贈られていた。


しかし二人は、全く違う反応をする━━━━━━


朱果は…………

「ありがとう!
せっかくだから、貰うね!
でも俺は彼女がいるから、お返しはできるかわからないよ」
と、チョコを貰い断る。


しかし朱李は…………

「いらない。
俺は、好きな女がいる。
その子から貰えるかわからないが、その子からの贈り物以外いらない!」
と、きっぱり断るのだ。


その理由を、千鶴は二人に聞く。

朱果「だって、せっかく用意してくれた物を断るのは可哀想でしょ?
でも、俺が好きなのは千鶴。
だから、気持ちは受け入れないよ」

朱李「だって気持ちを受け入れられねぇのに、受け取る方が失礼じゃね?
そうゆうのは、優しさじゃねぇよ。
俺は、千鶴しかいらない。
千鶴を手に入れられるなら、冷たい人間で構わない。
俺は、千鶴にだけ優しくしたい」




「━━━━━━━え……千鶴…これ、俺…に?」
朱李に渡された、チョコクッキー。

千鶴はバレンタインの贈り物を、朱李に“だけ”贈ったのだ。

そして朱果には、別れを告げた。


「朱果くんの優しさは、苦しい。
それが悪いことだなんて思わない。
でもそれは、大切なモノを見失う。
私はどんなに冷たくても、厳しくても、朱李くんの傍で一生懸命生きていきたい」



そして、朱李と千鶴は付き合いだしたのだ。


どこかで千鶴の朱李への気持ちを察していた、朱果。
こうなることは、目に見えていた。


朱李は冷酷で無情だが、大切なモノはある意味命懸けで大切にする。

そんなところが、千鶴と似ている。


だからこそ朱果は、千鶴の気持ちを受け入れることができたのだ。

朱李なら、千鶴を幸せにできる。


その為なら、自分は身を引こうと━━━━━━



そして今でも朱果は、二人を見守っているのだ。


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