【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
それから1週間。
お言葉通り、騎士団長様はお屋敷にも、カフェフローラにもいらっしゃらなかった。
「大丈夫? 今日発つのよね? 目の下にクマができているわよ」
「ん、大丈夫。心配かけてごめんね?」
今日も金色の髪の毛と、淡い水色の瞳が美しく、キラキラと透けるうろこのような飾りがついた、人魚姫をイメージした制服を身につけたダリアはかわいい。
バッグヤードに戻りながら振り返った店内は、淡い水色に染められて、時々ユラユラと差し込む水面を通した光が差し込んでいる。
「きれい……」
本当に水の底のお城みたいだと感心しながら、この美しい景色を騎士団長様と見ることができなかったことだけが、なごり惜しい。
(でも、さすがに一度は帰らなければ……。魔鉱石のこともあるし)
魔鉱石の採掘準備が整ったなら、どうしても領地に帰らなければいけない。
私か弟が、いなければ、採掘は進まないのだから……。弟一人に任せきりというわけにはいかないだろう。
のろのろと着替えて、ロッカーに入れておいた荷物を背負い、裏口から外に出る。