【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
騎士団長様が、口元を押さえ、眉間にしわを寄せた。
子どもっぽいとあきれられてしまったようだ。
「本当にリティリア嬢は、俺のことをダメにするほど、かわいい、な」
「えっ、ええっ!? 何言っているんですか」
「……仕方がないだろう。嘘偽りない本音だ」
けれど、予想に反して騎士団長様の口からこぼれたのは、私のことをなぜかかわいいと褒める言葉だった。
そして、驚くべきことに、騎士団長様が、ずっとお屋敷に帰らず、お店にも来られなかった理由は、長期休暇を取るためだった。
「リティリア嬢は、狙われている。危険だ」
寝る間も惜しんで仕事をして、騎士になって初めての長期休暇をもぎ取ってきてくれた騎士団長様。
その目元には、激務を物語るようにくっきりと隈ができていて申し訳ないと思いつつも、一緒にいられることがうれしすぎた私の口元は、緩んでいるに違いなかった。